学ぶ人は、どんなことからでも学ぶ。

MBAしょっぱなの秋学期のなかで一番好きな授業は、ダントツでリーダーシップスキルのクラスだ。担当はMabel Miguel、UNCで教鞭をとるプロフェッサーが授業を担当している(UCSD Rady SchoolにもChristopher OveisというAssistant Professorはおりまして、彼も相当生徒から評判がよい)

米国MBAという場所そのものがいわゆる『リーダー育成機関』であり、どんなMBAにいっても必ずコアクラスとして組み込まれているはずである。なんで全員にリーダーシップを求めるの?、なんて疑問はどこ吹く風だ。

で、もともと正直こういう授業の有用性は懐疑的だった。アントレプレナーシップは教えることができるのか?という問いと同様に、リーダーシップというのは個人的な体験を積み上げていくものであり、高速道路はないだろうと思っていたから。しかしこれが予想に反してめっちゃくちゃタメになるの思わず紹介。授業でカバーする内容としては

Leading and Managing and Self Awareness
Delegation and Empowerment
Managing Conflict and Promoting Collaboration
Power, Politics and Influence
Ethics

などなど。以下授業で扱っているケースの内容。

・1990年代のターンアラウンド案件を任されたタイムワーナーケーブルの地域マネージャー。仕事はできるが部下に対して脅迫的な態度をとることが多く、EQ低め。危機的状況において成果をあげた彼のやり方は賞賛されるべきか?彼は今後どのように組織をリードするべきか?

・部下に全ての仕事を委譲しまくり、部下に仕事の相談をされても自分で考えろとしか言わないプラントマネージャー。しかし驚くべきことに彼のプラントはグループ内で最高の業績を誇り、人材を輩出している。権限やタスクはどのように部下に委譲されるべきか?マネージャーは何をすべきか?どんな機会が人を成長させるのか?

・アップルでジョンスカリー&ジョブズに反旗を翻した女性中間管理職(生産管理マネージャー)。アップルの未来を信じ、能力に絶大な自信を持つ彼女は、どう摩擦を起こさずに自分のパワーを組織内で行使し、業務の成功と個人のプロフェッショナルとしての充足を両立させられるか?

・クライアントのために身分詐称してまで機密情報を手に入れるか悩む若手コンサルタント。会社の成功と自分の昇進のために、どこに倫理ラインを引くべきか?

こういったケースなどをベースに、あなたならどうする?この人はどうするべきだったか?というのをたっぷり議論していく。いや絶対こうするべきでしょ、と思って準備してクラスに臨んでも、自分が考えもしなかった論点をクラスメイトたちが自分の経験をベースに補強していく。(正直いったん議論がはじまると内容についていくのが精一杯でちっとも自分は貢献できていないが、ネット上の掲示板も用意されているので、あとでそっちで貢献することも可能)

教育というのは経験の意味を増幅させてくれる、そんなことを感じさせてくれるクラスだ。ソウ・エクスペリエンスでの7年を振り返りながら、あー、あのときこうするべきだった、とか反省しながら学ぶことができる。12月で終わってしまうのが悲しいくらい。

そしてもうひとつ、この授業から多く学べるなと思うのは、彼女のクラスに対する姿勢そのものだ。彼女は素晴らしい話し手であると同時に、素晴らしい聞き手である。クラスメイトも、彼女と話しているとどんどん熱を帯び、自分の経験をシェアする喜びを感じはじめる。僕が日本のケースをシェアすると、あとからメールがきて「そのケースのこともっと知りたいからまとめて送ってくれ」と言う。授業のあとには、素晴らしいディスカッションをありがとう!と我々にお礼する。

彼女は、教える以上に学び続けている。

学ぶ人は、なにからでも学ぶのだなあ、そして変化していくのだなあと、彼女を見て思うのであった!

05. November 2012 by admin
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