CEO, the Board of Directors, & Corporate Governance

さて、もう終わってしまった夏学期の授業の振り返り。先日はNew Product Developmentという授業について書いたが、今回はCEO, the Board of Directors, & Corporate Governanceクラスについて振り返り。

担当はMichael J. Berthelot。ふるーい赤いポルシェがよく似合うおじさまで、いつもラルフローレンのポロシャツをタックインされている。いわゆる「コーポレートエグゼクティブ」という肩書きを地でいく方で、今まで30以上の上場企業のボードメンバーを歴任し、その国もアメリカ・カナダ・イギリス・ブラジル・スペイン・ドイツと幅広い。CEOは2社を経験。現在はFresh Del Monte Produce Companyのボードメンバー。

この授業では、彼がCEOとはいったいなんぞや、コーポレートガバナンスとは何ぞや、ということを長々と語ってくれる。生徒はチームに分かれ、自分が興味ある上場企業のProxy Statementとにらめっこしながら、この会社のボードメンバーは機能していると思うか、CEOの報酬は適切か、株主はどのように権利を行使すべきかなどについて毎週グループプレゼンをしていく。運良く履修者が10人くらいしかおらずとてもよい雰囲気で学ぶことができた。

履修すると漏れなくめっちゃくちゃ退屈な分厚い教科書がついてくるのだが、これは毎週のエッセーの課題にちょっと使えばいいだけで、ほとんど読まなくてもよい。いや、僕も読もうと何度もトライしたのだが3ページ目で超絶睡魔が襲ってくる。SOXの成り立ちとか詳しく知りたい方はどうぞ。授業では結局講師の個人的ストーリーがほとんどを占めるので読まなくても別に大丈夫という言い訳。

MBAの授業で満足度が高いクラスの特徴は個人的には二極化していて、ひとつは忠実にセオリーをなぞってくれる優等生的タイプの授業と、もうひとつはカリキュラムを無視して担当講師が自分の経験を語ってぶっ放してくれるタイプ。本コースは後者に属し、大抵生徒の質問によって大幅に方向がズレていく。ヒットマンに狙われた話とか、仲間がインサイダーで捕まった話とかが一番記憶に残っている。講師は日本の会社にも詳しく、オリンパスの不祥事やソニーの分離上場提案等ももちろん、キヤノンが御手洗さんを再び戻した話とかも僕より詳しかったりしてタジタジ。

最後の授業はこんな話で締めくくっていた。

『みなさんが今後どんなキャリアを歩むかわからないが、とにかくあなたたちの身の回りがスタンダードだと決して思わないこと、謙虚であることがいちばん大切だ。このMBAで出会う仲間や、Rancho Santa Fe(有名なリゾート地)に住む人たちは本当に本当に限られた狭い世界に住む人々だ。私はオハイオの田舎町から出て来たが、いつも自分の高校の同窓会に行くたびに世界を再認識する。これからあなたたちが巻き込んで一緒に仕事をする人たちはもっと多様な人たちだ。だから、ここで学んだことは半分忘れなさい。』

自分が住む世界をスタンダードだと思うな、というのは当たり前だが常に忘れがちなことでもある。下の画像は、雑誌NEW YORKERの1976年のとある号の表紙だ。Saul Steinbergによるイラストなのだが、ニューヨークはマンハッタンに住む人々から観た世界を描いている。だだっぴろい9thアベニュー10thアベニューにはきらびやかなビルが立ち並び、その向こうにはハドソン川、更にその向こうには申し訳程度にいくつかの山々と都市があり、海の向こうには中国と日本とロシアがうっすらと。マンハッタンに住む人々はこれほど近視眼的なのだよねと皮肉ったイラストなのだが、誰しもこういう一面を持っているはずだ。

08. September 2013 by admin
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