日本人の観客はため息ばかりつくのか

クルム伊達選手のこの記事を読んでうーんと考えた。

伊達 観客の反応に怒り「ため息ばっかり!」

よくあることではある。テニス選手が試合中に自分のプレイがうまくいかないときは周囲の環境に当たりたくなったりするし、思わず『ため息ばっかり!』と声を発したのは本当に観客を責めたいわけではない、ということも理解できる。

テニスの試合を観たことがある人なら分かると思うが、ミスをしたときに「あ〜」と思わず観客から声が上がるのはどちらかというとため息というより「ああ惜しいねえ」という感情表現に近い。そして僕は日本でもアメリカでもかなりテニスの試合を観ているが、アメリカの観客だって贔屓の選手がミスをしたときにかなり似たような反応をする。(日米以外おそらく全世界そうだろうと思う)なので、この事象だけを捉えて日本人ってやっぱネガティブで悪いところばかり目につくのね、みたいな結論を導くのはやや乱暴かなと思う。

ただ一点日本とアメリカのテニス観戦の違いを挙げるとすると、アメリカでは観客席を片方のファンがほとんど占めている、というみたいな状況はあまりない。アメリカの選手がプレイしているときはもちろんファンが多いが、それでもある程度は相手プレイヤーのサポーターもいるので、観客の同調圧力みたいなものは日本に比べると弱い。

クルム伊達選手が今回日本でプレイしたときは観客の9割は伊達ファンだと容易に想像できる。会場に蔓延する「伊達がんばれ!!」的な同調圧力は相当なものがある。(ちなみにこの「惜しいねえ的ため息」は観客に高齢の方が多いと非常に強くなる傾向にあると思っていて、やはりテニス観戦人口の高齢化も確実に影響しているとも思います。)

というわけでこの件を通じで思ったのは、同質な人ばかりが揃う環境だと落胆はもちろん、おそらく賛辞ですらやや気持ち悪くなってしまうのかもしれないということ。心地よい一体感と強すぎる同調圧力は紙一重。テニス界にももう少し若い客や非日本人の観客などがくるようになるとガラっと雰囲気が変わるだろうなと思います。

現在のテニスプレイヤー人口は373万人。10年前の423万人から50万人も減り、縮小傾向が止まらない。プレイヤー人口と観戦人口はある程度比例関係にあるので、どうにかせねば。

24. September 2013 by admin
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