歩けるパールディストリクト

ここ数年日本でもかなりメジャーになってきたポートランド。最も環境に優しい都市/最も自転車通勤に適した都市/住みやすい都市などなどの称号を欲しいままにしているこの都市は、インディペンデント系コーヒーショップ/本屋/アートギャラリー/スモールブティック/マイクロブリュワリーが所狭しと乱立する、ある種の人たちには最高に過ごしがいのある街だ。

で、二度訪れたことはあるものの、いつも人にひっついてただけでこの街についてほとんど何も知らなかったのだが、たまたま読んでいた雑誌にちらりとパールディストリクトについて記事があったので知ったことをメモ。

パールディストリクトはここ10年全米でもっとも成功した都市再生プロジェクトのひとつという呼び声も高い。もともと鉄道の操車場だったエリアがトラック輸送への移行に伴い荒れ地化。そこを地元のデベロッパーが買い取り貸し倉庫業等をはじめ、その後ホイト社が14万平米もの土地を一気に買い取り、市政府と共同で開発を進めたという。掲げたコンセプトはBuild the urban neighborhood、高架道路を撤去し、建物の1階はギャラリーや店舗用途に制限したらしい。で、1988年にはワイデンがダウンタウンからパールに移転、ロフトオフィスに憧れる人や企業がどんどん移り住んできたという。


上は1940年代のパールディストリクト、下が現在。

クリエイティブでコミュニティセンスを大事にする人を呼び込み、グリーンでサステイナブルなエリアに。そしてストリートスピリットを芽吹かせる、とかいうとどこの大学生が書いたレポートかという感じになりますが、これを率いたのがホイト社のHomer Williamsというおじさま。御年68歳。現在はPearl District Hotelを建設したり、ポートランド内で新たな開発プロジェクトを抱えているという。華やかな成功者として捉えられている割には資金は困っているようでIRS=日本でいう国税に$2.6Mの滞納があり、更に奥様との離婚調停金$1.2Mの支払いも滞っているとかそんなニュースばかりが検索にヒットします・・・。どんな方だか存じ上げませんがビジョナリーで他の人がとらないリスクをとる方だということは間違いなさそうです。

でも、ポートランドは実際ウロウロしてみるととても歩きやすいことに気づく。アメリカのブロックは通常一辺400フィートだが。ポートランドは半分の200フィートにデザインされているからかもしれない。『歩ける』ことの意味は人と会う機会、知らない人と会う機会をもたらしてくれる。カリフォルニアに一年住んでいて思いますが、クルマ社会はクルマと家の単純な往復を引き起こしがち。週末に広い庭でバーベキューパーティーをするときも元々同質な世帯同士が集まる会なのでセレンディピティが生まれにくい。もっと街を歩いて人とすれ違いたいなあと思う今日このごろです。

それにしても『若者がリタイアしにくる』という皮肉が本当にしっくりくるポートランドはヒッピーお兄さんお姉さんでいっぱい、雇用はお世辞にもよいとは言い難い。彼らのようなヒッピーをフィーチャーしたドラマ、Portlandiaは超おもしろいのでおすすめ。でもまた行きたい、そんな都市です。

11. September 2013 by admin
Categories: Oregon, USA | Leave a comment

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