だから、両方やるんだよ。

やることに追われ、タスクに溺れ、うーんどっちかに割ける時間を減らすか・・・というよからぬ考えが頭をもたげるとき、昔から頭に浮かぶ友人がひとりいる。

中学の同級生のひさゆきくんだ。

彼は帰国子女で、中学校の英語の授業では寝てても100点満点間違いなしだった。

しかも他の教科もよくデキる。デキるやつはまず弄れ、というカルチャーを是としていた我がクラスだから、彼はことあるごとに「お前英語できていいよなー、英語圏に住んでたんだからずるいよなー」とみんなから揶揄されるわけである。

とはいえ彼はとても穏やかな人間なので、そう言われてもハイハイ、と適当に受け止めていた。

ある日のこと。彼が僕の家に遊びにくることになり、学校帰りに一緒に東急東横線に乗っていた。試験を控えていた僕は、思わず『英語の期末試験がマジで大変だよなー、お前は英語勉強する必要ないから他の教科に勉強時間使えていいよなー』、と何度も彼が言われているであろうことを思わずつぶやいた。すると、彼は電車の地面を見つめながら静かにこう言い放った。

『当たり前だろ』

え?という顔を僕がしていると、間髪入れずに彼はこう言った。

『おれはフランスにいるときにフランス語の宿題と日本語の宿題と英語の宿題、ぜんぶやってたんだ。ゲームやりたかったし、友達と遊びたかったのに我慢して全部をこなしてた、だから今みんなよりできるんだよ。お前らは日本語だけで勉強してたんだからできないの当たり前だろ。それをずるいとか言われると本当に腹が立つ。』

と吐き捨てるように言ったのだ。

あの穏やかな彼がそんなことを思っていたんだなあとあっけにとられ、その日は一緒に僕の家でダービースタリオンをやってたのだが、その言葉がこびりついてなんかゲームに集中できなかったなあ。てかダービースタリオンって二人でやるゲームじゃないよね。坂路坂路の繰り返しでジャパンカップ獲りました。

そんな彼もいまは立派なお医者さん(←なんだこの定型句)。彼の結婚式のスピーチでこの話しを披露した記憶があるのだが、伝え方によってはイヤなヤツですねこれじゃ。。。彼の名誉のために補足すると、こんな思いを吐露することは中学の3年間で何度もなかったとおもう。

ともかく、だから、両方がんばれってことだ。

中学一年生の彼の態度にいまなお学ぶ、私でありました。

13. November 2012 by admin
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