MGT497: Pricing
MBA最後の学期、人気授業のPricingを受講。
授業概要をシラバスから超訳:企業のマーケティング活動において価格設定というのはもっとも重要な戦略意思決定事項のひとつであり、サプライヤー側のコストや顧客側の支払い意欲、競争環境等を総合的に判断する必要がある。クラスでは、このプライシングに関わる意思決定をどのように下せばよいのか、経済的、戦略的、顧客行動心理的観点から包括的にアプローチしていく。
担当はProfessor Karsten Theil Hansen。学士はデンマークはコペンハーゲン大学、その後ブラウン大学で経済学のPh.Dを取得。シカゴ大学、ノースウェスタン大学でのアシスタントプロフェッサーを経て2008年からRadyにて現職。眼光鋭く細マッチョ。
授業は最初、『マネージャーは利益を生み出すために、4つのレバーを握っている。セールス、変動費、固定費、そして価格。この4つのなかで、売上げやコストについては激しい議論が企業内で常に繰り広げられるが、プライシングに関しては軽視されがちだ』という議論からスタート。価格比較サイト等による売り手と買い手の情報の非対称性が是正され、またソフトウェア産業など限界コストがほぼゼロに近い産業が存在感を増す昨今、プライシングはもっと重視されるべきだと教授は熱弁。
例えばレストラン産業や不動産はコストから最終価格を導きだすことが多いが、これは顧客の支払い意思(Willingness to pay)を考慮していないことが多くナンセンス。マネージャーは法律を遵守できうる限り、利益を最大化できるプライシング戦略を持つべき。
ということで授業では、顧客が感じる価値をどうやってdollar valueに落とし込むか、顧客セグメントが複数存在する場合にどうやってプライシングするか(Tiered Pricingやバンドル販売、Price Fencesなど)を習得したのち、Conjoint Analysisを使って顧客が商品の何に価値を感じるのかを探る手法を学ぶ。加えて過去のセールスデータをどう未来のプライシングに活用するか、さらに補足的にPay what you want(顧客が気に入った金額だけ支払っていい)やフリーミアムモデル、大量購入値引きの是非などのトピックもカバー。最後のグループワークでは実際の企業やサービスのプライシング戦略の策定をする、ってな授業でした。
というわけで、これを学んだからといって公式を突っ込んでぽんと出てくるほどプライシングは単純な意思決定ではありませんが、卓越した企業は必ず深く練られたプライシング戦略を持っているという授業の趣旨には非常に同意します。個人的にはアップルのプライシングはモデルチェンジのたびに絶妙だなと感心しますし、マイクロソフトのオフィスシリーズのバンドル売りの仕方も今思えばめちゃくちゃ秀逸。
モノを買うときになぜこれはこういう価格設定なんだろう、自分が払っている金額は他の人も同じように払っているのだろうか、と勘ぐるクセは結構あるほうですが(アマゾンとか顧客によって同じモノでも違う値段で売ることあるみたいです)、この授業を受けて更に疑い深くなりましたとさ。